■ 前書き
かれこれ20年ほど前のこと。
わたしは当時、自身の抱えていたトラウマ性の後遺症や、
(ほぼ同時進行で心理学/臨床心理学やアートセラピー、
一時ほとんど引きこもりながらも、なんとか “健康的な自律した自分” になりたくて、ホームページを作ることを覚えたのを機に日々の記録をはじめました。
(簡単なHTMLで個人がWEBページを持つことが増えはじめた頃です)
ずっと抑圧してきた気持ちや、これまでの自分の歴史に何が起こっていたのかを書き出しながら振り返る作業をしていたのです。
今だと、ブログやツイッターなどに自分の心情を吐露するような感じでしょうか。
続けるうちに少しずつトラウマサバイバー当事者の繋がりも増えてきて、エンパワー(力づけ)されて励みになっていたものです。
実際、リアルでも自助グループに参加したり、心理セラピー/カウンセリングに通っていました。
回復も進み始めて、むさぼるように読んでいた回復に役立ちそうな本を紹介したり、ワークブックのワーク記録を載せたりなど、だんだん「
*
これからご紹介する記録は、小さなコミュニティサイトを運営していた時に公開していた記録の一部です。
15年以上も前の記事で、情報も古くなっています。
しかも、ものすごい中途半端なまま残されていて、改めて見たら我ながら恥ずかしい。
ただ、この後わたしは着々と“幸せ街道”を歩み始めていたので、Macの中にデータ保存したまま都合よく忘れてしまってたのですね。
それをどうしてこのタイミングで改めて表に出してきたのか……。
これからご紹介する「レジリエンス 」(下記記事は当時の呼び方・本のタイトルに準じて「リジリアンシー」としています)という概念が、最近、教育・
そこでわたしは少し違和感をおぼえた部分があったのでした。
というのが、この言葉や概念が「強化するもの」「鍛えるもの」など、“備わっていないものを付け足して鍛え上げていく”というような、なんだかゴリゴリした“体育会系”ニュアンスを感じる表記を多く見聞きしたからです。
わたしの受けとっていた「レジリエンス」(当時は出会った本のタイトルから「リジリアンス」と呼んでた)の持つ意味は、それらと少し違っていたのです。
わたくし実はここ5、6年ほど活動休止していた都合もあり、なぜ今「レジリエンス 」という概念が“流行って”いるのか、どこから「鍛えるもの」「強めていくもの」という意味づけが大きくなってきたのか、実態をまだ充分に把握できていません。
なので、安易に指摘などできませんし、するつもりもありません。
逆にそれが役立っている人がいるのなら、喜ばしいことです。
一方で私自身のモヤモヤ感もありましたので、どう処理しようかと考えてたところ、これはちゃんと自分のやり残した作業を終えるのにいい機会かも!と思いついたのでした(急に自分都合・笑)。
そこで、あえて当時のままに出して、未作業のものも取り組んでみることにしました。
だいぶ長いテキストになりますし、古い記録でもありますが、このような情報やアイディアが(年月超えて)必要な人に届けられること・役立てていただけることを願い、しっかり丁寧にアップしていきます。
深刻になりすぎず、楽しみながら、必要なところを読んでいただき、参考にしていただけたら幸いです。
※以下2003年頃の記録です。原文ままです。
◎当時のわたしは、接続語などの多用や、一文もムダに長いものが多く、ヤヤコシいところが多数あります。若干「改行」のみ追加してますが、読みにくさが残る部分はご了承ください(要は勢いだけで書いていた・笑)。
◎お読みになっているときに気分が揺さぶれるなどありましたら、ご自身のコンディションを優先し「読むことを中断する」選択もあることを書き添えておきます。
“ L i b e r t y w a y ”
... “ 解 放 ”へ の 路 ...
生きてゆくために... 回復と平安への探究
※ただ今、走り書き「メモ」状態です。非常に読みづらいと思われますが、少しづつ追加・修正し、体裁も整えていく予定です。
「リジリアンシー」自尊心とこころの弾性を取り戻す
- 「リジリアンス」について
- 逆境を乗り越えるための7つのキーワード
- 「犠牲者」ラベルからの脱却 ─ダメージの中から自尊心を取り戻す
1.「リジリアンス」について
私は回復が進むにつれ、自分の中に湧いてくる感情を少しづつ自覚して調整すること(これは文字通り「押さえ込むことではない」)はできるようになってきました。
しかし、他の人との関わりや日々の生活において、今ひとつ「力」が湧いて出ないもどかしさや苛立ちや悲嘆に包まれることがなかなか解消できないでいました。
どうしたものだかと途方にくれてたそんな折り「リジリアンス」という概念と出会いました。
「リジリアンス(resilience)」は、直訳すると「回復力」「弾力(性)」「弾性」となります。
医学分野では「弾性」をイコール「弾性線維(elastic fiber)」と受け取られるようですが、ここでの「リジリアンス」概念では、「こころの回復力」の意味で扱っています。
この「リジリアンス(回復力・弾性)」は、心理的なダメージを受けた際、その逆境から這い上がる力を回復させる1つの考え方として定義されています。
また、ダメージを受け(続け)立ち上がる力を失っている人も、このリジリアンスを取り戻して修復し活かしていくことができるという、希望に満ちた提案をしてくれています。
私は、よりよく自分を活かして日々を送っていきたいと願っていたので、何はともあれ、この「リジリアンス」について学んでみることにしました。
そこで気づいたことなどをここにまとめてみたいと思います。
近年までのトラウマ概念やさまざまなストレスによるダメージからの「傷」についての定義や提唱は、(個を焦点にした)病理の“診断”や、因果関係を明らかにすることに集中してきました。
それらは、漠然とした多くの心理的ダメージや悩み、トラウマティックなストレス症状に対して1つの「答え」を示してくれ、私は絶望と同時に安堵も得ることができました。
また、そこに至るまでの苦しみや悲しみ、怒り、恐れ、孤立感などを整理するためのヒントを与えてくれるものでもありました。
ところが私は、それらが理解できるようになってきた時、次のステップが分からなくなりました。
因果関係は充分理解できた。しかしそれだけでは自分が日々を楽しくすごすことや他者との親密な関係につなげることは困難だったのです。
そこにあらわれた「リジリアンス」の概念は、まさに私が今必要としていたものでした。
この概念は、ダメージを受け(続け)縮こまっている中にも、柔軟性を持って逆境を乗り越える要素を“既に含んでいる”と示しています。
たとえば、それらを図化すると...↓このような感じです。
(ちょと理科の教科書みたいですがご了承を^^;)
下図の円の中央部分の緑は、自己(self)を表わしています。
一番左の円は、私たちが生まれ持って出てくるまっさらな状態を示しています。
発達と共に増えていくSelfの周りの黒い部分はダメージを受けストレスにさらされた状態(脆弱性)を表わしています。
間に挟まれるように入っている白い部分はダメージから立ち上がった「弾性」を示しています。
Illustraion by cao, 2003
上の『リジリアントな成長』では、黒い部分(ダメージ)はありながらも、白い部分(回復力)を活かして柔軟な力を持つことを表わしており、それは、丁寧に編み込まれた弾力性のあるニットのようなバネに幾層にも包まれた状態でもあります。
Illustraion by cao, 2003
一方、『非リジリアントな成長』では、ダメージを示す黒い部分が厚みを持ち、これは強固で柔軟性のない太く張り詰めたバネのような感じを表わしています。
この場合は白い部分=回復力・弾性は、まるでダメージに押しつぶされているような感じです。
しかしここで注目したいのは、『非リジリアント』な状態でも、白い部分=弾性が決してなくなってはいないということです。
リジリアンスの概念では、このダメージに包まれたわずかに残る弾性に焦点を当てて、この部分を意識化し修復させることでリジリアントな状態を取り戻すこと(ができること)を提案しています。
2.逆境を乗り越えるための7つのキーワード
(次回②に続く……)
《 参考・引用文献 》
(*1) S・J・ウォーリン/S・ウォーリン/訳: 奥野 光・小森 康永
『サバイバーと心の回復力 逆境を乗り越えるための七つのリジリアンス』 金剛出版
ボリスシリュルニック/ 訳:柴田都志子『壊れない子どもの育て方』 KKベストセラーズ
(2003, 2018 記)